18Jun

テレビの催眠ショーなどで、催眠にかかった人が「あれ?甘いな」と言いながら、レモンをかじっているのを見た事はありませんか?
催眠で子供の頃に戻って涙を流したり、お水を飲んで酔っ払ったりするのは、どこか演技しているような感じもしないでもありませんが、でも、酸っぱいレモンを顔色一つ変えずにがりがり食べるのは、とても演技ではできないでしょう。でも、催眠状態になると、(特に催眠にかかるのが上手な人は)このような事が可能になります。
なぜかというと、人間の記憶の中には、今までに体験した五感の記憶が全部保存されていて、今まで食べた甘い味も、酸っぱい味も、すべて記憶されていると言われています。そしてその味は、多くがそれぞれの食べ物とセットになっています。
例えばレモンにはレモンの味が、イチゴにはイチゴの味がセットになっているので、レモンを食べたら酸っぱいレモンの味しかしませんし、イチゴを食べればイチゴの味しかしないようになっています。
ところが催眠の中では、このセットを切り離して、別の記憶とセットにする事ができます。レモンと甘い記憶とをセットにすれば、レモンを食べると甘い記憶が呼び起こされ、レモンを甘く感じてしまうのです。
この力を使えば、例えば人前で緊張してしまう人に、人前に出た時と、親しい友達と話している時のリラックスした感じをセットにすれば、人前でもリラックスして話せるようになりますし、電車が怖くて乗れない人に、電車に乗る時と、公園のベンチに座っている心地よさをセットにしてあげれば、また心地よく電車に乗れるようになります。
催眠ショーでは、催眠が解ければ、やっぱりレモンは酸っぱく感じますが、療法的な催眠(催眠療法)では、心のブロックを外すなど、心地よさが持続するように、最後まで責任を持ってガイドさせて頂きますので、二度と元に戻る事はありません。