18Feb

お悩みの症状が強いほど、軽快するのに時間がかかると思っていませんか?私も始めはそうでした。ところが実際にセッションをさせて頂くと、強い症状でも1回のセラピーで改善する事は珍しくありません。
先日おいで頂いたS君のお話です。
彼は12歳。今度中学生になるスポーツ万能の少年で、野球部のキャプテンもしています。ルームに見えた時もお元気で、とてもお悩みがあるとは思えませんでした。
S君は元々とても明るく活発なお子さんでしたが、3.11の時に強い揺れを体験し、それ以来高い所や、エレベーターなどの閉所が苦手になってしまったそうです。
それでも普段の生活に問題はなかったのですが、昨年、ふと見たテレビにとても残酷な場面が写っており、そのとたんに頭が真っ白になって心臓がドキドキし、息ができなくなってしまいました。それは1時間以上続いたとの事です。
その後はまた普通に戻り、何事もなく過ごしていたのですが、最近お父さんがいきなり大きな声を出し、その途端にまたパニックが起きてしまいました。せっかく良くなったと思っていたのに、これからの中学校生活も不安になったと、ルームに来て下さいました。
パニック症状というのは、強いストレスを受けた時に、いつもの自分から分離した、パニックを起こす人格が現れた状態といえます。S君の場合も、3.11がきっかけでパニックを起こす人格が生まれた可能性があると考えました。
でも、S君はもともと元気で明るく、リーダーシップのあるお子さんです。しかもまだ12歳という若さなので、きっとすぐにまた元の一人のS君に戻れると感じました。
ルームにいるS君はポジティブなS君だったので、もう一人のパニックを起こすS君がいると想像してもらい、それぞれのS君の違い、特に持っている力の違いを見つけてもらいました。
その結果、ポジティブなS君は、物事を深く考えないで、受け流す事ができる力を持っていて、パニックを起こすS君は、イメージ力がすばらしく、集中力が抜群との事でした。
この2人に分かれていると、たとえばスポーツに集中する時は素晴らしいプレーができますが、悪い出来事にも集中してしまい、パニックから抜け出せなくなります。反対にいつも受け流していると、悪い出来事からはすぐに抜けられるけれど、集中力がなくなってしまいます。
この2人を統合すれば、イメージ力が抜群で集中力があり、しかも必要な時は受け流せるS君に戻る事ができます。
大人になると、ネガティブな(パニックを起こす)自分を嫌いだったり、もっと深い所にエピソードが隠れていたりして、すぐには統合できない事も多いのですが、S君はどちらの自分も大好きで、統合は全く問題なく、すぐに実行してもらう事ができました。それこそ「あっという間に楽になった」感じです。
統合後、S君は「今までと全然違う!すっきりした!」と、とても嬉しそうでした。
S君に限らず、お子さまのセラピーは、予想を裏切って?簡単に終わる事が多いものです。